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運慶は護国寺前で

JUGEMテーマ:最近読んだ本

 

東京国立博物館で「運慶展」が開かれている(〜11/26)。

運慶は日本でもっとも著名な仏師で、誰もが教科書でお目にかかっている。

 

東博のパンフレットによると、「卓越した造形力で生きているかのような現実感に富んだ仏像を生み出し、輝かしい彫刻の時代をリードしました」とある。運慶の父・康慶、実子・湛慶、康弁ら親子3代の作品を揃え、運慶の作風の樹立から次代の継承までをたどるものだ。

 

運慶作の仏像は31体と数が少ないが、これだけまとまったものを一度に見る機会はそうないだろう。一番のお目当ては、国宝 無著・世親菩薩立像 (建暦2(1212)頃 奈良・興福寺蔵)。国宝 大日如来坐像 (平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺)も見たい。

 

運慶といえば、まず東大寺南大門の金剛力士像(仁王)が思い浮かぶ。

1203年(建仁3年)7月から10月までの70日間で作られたもので、高さ8.4メートルの阿形像は大仏師運慶と快慶らが造立、吽形像は大仏師定覚および湛慶が造立した。

巨大な憤怒の像は「大仏様」(天竺様)の南大門に向かい合って、ここに魔物を寄せ付けない。

 

 

今たまたま漱石の小品集を読んでおり、「夢十夜」のところにさしかかった。

「夢十夜」は夢であるからかよく理解できない不思議な話ばかりだ。ユングやフロイトをもとに解説する向きもあるが、意味がわからないものはわからないなりに楽しもう。無理な解釈は不要であり、楽しんで流そう。

 

その第六夜に、わが運慶が登場してくる。鎌倉期の運慶が明治時代の護国寺の山門で仁王を刻んでいるのである。夢としては設定が具体的でわかりやすい。

 

夢の中の運慶は、見物の人々があれこれ言い合っていても、委細頓着なく鑿と槌を動かし作業に集中している。

よくも無造作に鑿を使って思うように眉や鼻ができるものだと人々が感心している。

すると若い男が、あれは眉や鼻を鑿で作るのではなく、「あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを鑿と槌の力で掘り出すまでだ。土の中から石を掘り出すようなものだから決して間違うはずはない」、そう言ってのけた。

 

感心した自分は見物をやめて家に帰り、薪にしようと切っておいた木を彫り始めるが、運悪くなかなか仁王を掘り当てることができない。片っ端からやってみたがだめだった。ついに明治の木には到底仁王は埋まっていないと悟った。「それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った」、これで終わりだ。

 

明治の木には仁王は埋まっていないというのは、明治の時代(当時)は運慶のような偉大な仏師(芸術家)はいないということを言っているのだと、中学校の教師が説明したのを今でも覚えている。

 

運慶展をやっている平成時代の木には、果たして仁王は埋まっているのだろうか。

 

そうだ、護国寺に行ってみよう。運慶展に合わせて、彫っているかもー

 

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