2019.06.20 Thursday
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JUGEMテーマ:秋の気配
金沢の中心香林坊交差点近くに旧制の第四高等学校があった。現在も煉瓦造りの建物が残っており、その半分が四高記念館として、もう半分が石川近代文学館となっている。
近代文学館では企画展「漱石と石川ゆかりの作家たち」が開かれている。パンフレットに「一見、石川県とは特に縁がないと思われる漱石ですが」とあるように、取り立てて取り上げるようなものは展示されていなかった。もともとあまり期待してはいなかったので、思った通りだったというだけだ。
わずかに金沢出身で漱石と帝大の同級生の藤岡作太郎、漱石門下の岡栄一郎宛の漱石の書簡が展示されていた。あとは泉鏡花、徳田秋声や杉森久英らが漱石について語る資料だけだったと思う。やはり漱石と石川県の関係はかすかなものであった。
しかしいつみても旧第四高等学校の校舎の外観と内部は金沢らしいものの一つであり、これを味わうだけで出かけた甲斐があった。煉瓦造りの建物にはあたたかさと郷愁を誘うなにかがある。
秋を感じるには、ここが最適である。
香林坊の大和百貨店の裏側にあたり、近くにはしいのき迎賓館がある。迎賓館から眺めると、広々とした芝生の向こうには、金沢城の石垣と緑が横に広がっている。
このように広々とした空間は城下町の中で、ここと城内の石川門から入って五十間長屋を望むポイントだけである。そこにいるだけで、すっきりと心までのびやかになる。
金沢観光の際には、この二つに足を運ぶことをおすすめしたい。
付け加えると、近代文学館では常設で泉鏡花の展示をしており、鏡花フアンは見逃せない。
鏡花直筆を歩めり秋の蠅 迷亭