2019.06.20 Thursday
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JUGEMテーマ:日々を楽しく
秋が深まり寒さが厳しい日が次第に増えてきた。夕暮れの時間が早くなり、つるべ落としに真っ暗になってしまう。そんな日には、何か心細く頼りなげに感じられることがある。賑やかで過ごしやすかった季節が過ぎ去り、あとは寒い木枯らし、そして雪を待つしかないー
こんな季節に特有のうつ病もあるそうで、私もその一人である。北国の秋の暮はわびしい。
10月中旬からやがてみぞれが雨が音を立てて降る11月いっぱいは、冬を前にして心細い日が続き、やたらとわびしくなる。12月初旬ころ、いざ雪が降る段になると意外にしゃきっとして、冬に立ち向かおうとする力が回復してくるのだ。
寒さに向かって雪が降るまでの期間が、一番嫌な時期ということになる。しかも寒い夕暮れなどには何とも言えない気持ちになってしまう。
『新古今和歌集』巻四、三夕の歌というのがある。
寂しさはその色としもなかりけり まき立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮
心なき身にもあはれは知られけり 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ 西行
見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ 藤原定家
しっとりとして秋の夕暮れを読むこの三首。何とも言えない深い味わいのある歌ではある。ここにはわびしさにあふれているが、何か寂しさをいやしてくれる調べも入っているようだ。西行の、鴫立つ沢の秋の夕暮れがなかでも好ましい。
一方、俳句にも秋の夕暮れ、秋の暮の季語は勿論ある。
石棺の朱におどろくや秋の暮 飴山實
百方に借あるごとし秋の暮 石塚友二
余韻を残す短歌とズバリと言い切る俳句の性格が出ていて面白い対比である。
寒い日はこんな風に、先人たちがどのように秋を過ごしたかにふれてみて、そこに浸り気分を紛らせていよう。
あと1か月ばかりでこんな風景がー